分厚いマットレスとは？薄いマットレスとの違い

一般的なマットレスは素材によって厚みに幅があります。ウレタン系の折りたたみマットレスなら約3～10cm程度、スプリング（コイル）マットレスなら15～30cm程度が平均的と言われます 。特に厚さ30cm以上あるものは「分厚いマットレス」と呼ばれることが多く、20cm以上あれば寝心地重視の方には厚めの部類といえるでしょう 。一方、7cm以下のものは極めて薄く、単体では底付きしやすいためマットレスの上に重ねるトッパー用途になる場合がほとんどです 。薄いマットレスは収納しやすく軽量な反面、体重がかかると底つき感が出やすく、長時間眠ると腰や肩に負担がかかりがちです 。

分厚いマットレスの特徴: 厚みがあるぶん中材に余裕があり、スプリングマットレスならコイルの高さやクッション層を十分に確保できます。例えば30cm前後の高級マットレスでは、体圧を点で支えるポケットコイルの上に複数のウレタン層やピロートップを重ね、まるで身体が宙に浮いているようなフィット感を実現しています 。厚みのおかげで身体が沈み込みすぎず適度に支えられるため、背骨の自然なラインを保ちやすく、睡眠中の姿勢が安定します。その結果、朝起きたときの腰痛や肩こりの悪化を防ぎ、疲労感の軽減につながります 。反対に極端に薄いマットレスでは寝返りのたびに床付き感を感じ、快眠が妨げられます。厚いマットレスはそうした底付き感が出にくく、体への負担を減らせる点が大きな違いです 。

分厚いマットレスのメリット

分厚いマットレスが快眠に貢献する具体的なメリットを見てみましょう。

• 体圧分散に優れる: 厚みがあることで内部に高いクッション性を持たせることができ、身体を面で支えます。特にポケットコイルを用いた厚手マットレスは体の凹凸に沿ってフィットし、肩や腰など一点に圧力が集中しにくいです 。そのため血行を妨げず、長時間横になっても身体が痛くなりにくい利点があります。実際、厚さ20～30cm以上のマットレスは肩こりや腰痛対策に効果が期待できるとも言われています 。
• 寝心地の向上: 分厚いマットレスの最大の魅力はなんといっても贅沢な寝心地です。内部のバネやウレタンに余裕がある分、弾力がありつつ身体を包み込むようなソフトさを両立できます 。高級ホテルで採用されるような厚いマットレスでは、「雲の上に浮いているよう」と形容されるふんわり感と安定感を両立しており、自宅でも上質な睡眠環境が手に入ります 。また、厚みのおかげで横向き寝でも肩が沈み込みやすく、寝姿勢が自然に保たれます。
• 耐久性・長寿命: 一般に、マットレスは厚みがあるほど材料に余裕がありへたりにくい傾向があります 。コイルマットレスの場合、厚手の製品ではコイル数を増やしたり線径を太くしたりできるため、長期間使ってもスプリングの弾力を保ちやすいです。ウレタンフォーム系でも十分な厚みがあれば底付きしにくく、圧力が分散するぶん耐久性が高まります。そのため「せっかく高品質なマットレスを買うなら厚めの方が長く使える」というメリットもあります 。実際、高価格帯のマットレスほど厚く作られていることが多く、質の高い眠りを長年にわたって提供してくれるでしょう。

分厚いマットレスのデメリット

優れた分厚いマットレスにも気を付けたい点があります。購入前に知っておくべきデメリットをまとめます。

• 重量が増す: マットレスは厚くなるほど内部素材も増えるため当然重たくなります。「分厚ければ分厚いほど、移動やメンテナンスが大変になる」というのは避けられません 。シングルサイズでも厚手のものは30kg近くになる場合があり、一人では持ち上げにくいです。頻繁に模様替えしたり、定期的に壁に立てかけて陰干ししたりするのが難しくなります 。重さゆえにローテーション（上下裏表の入れ替え）も手間がかかり、放置すると湿気やカビが発生しやすくなる点に注意が必要です 。
• 価格が高い: 高品質な厚いマットレスは素材をふんだんに使っている分、価格も上がりがちです 。一般的にシングルサイズで数万円台のマットレスは厚みが15～20cm程度のことが多く、厚さ30cm級の高級モデルになるとシングルでも10万円を超えるケースが珍しくありません。予算と相談しつつ、本当に自分に必要な厚みか検討することが大切です。分厚いからといって必ずしも自分に合うとは限らず、「とりあえず分厚いものを…」と選ぶのは避けた方が良いでしょう 。
• 通気性・お手入れ: 厚いマットレスは中に空気を含む量も多く、湿気がこもりやすい側面があります 。特にフローリングや畳に直置きする場合、下部に湿気が溜まりカビが発生しやすくなることがあります。重さゆえに頻繁に立てて干すことも難しいため、通気対策は必須です 。すのこベッドや除湿シートを併用したり、定期的にマットレスプロテクターを洗濯するなど清潔維持に気を配りましょう。また、厚いマットレスの中にはクッション層が分厚すぎて逆に身体が沈み込みすぎ、寝返りが打ちにくく感じるケースもあります 。自分の好みに合った硬さ・反発力かどうか確認することが大切です。

分厚いマットレスの選び方のポイント

厚めのマットレスを選ぶ際には、以下のポイントに注目しましょう。

• 自分の体格・好み: まず体重や体格に合わせて必要な厚みを考えます。体重が重めの方や骨格のしっかりした方は、ある程度厚みとコイルの強度があるマットレスの方が底付きせず快適です。一方、華奢な方や柔らかい寝心地が好みの方は、極端に厚すぎるマットレスだと硬く感じる場合もあります 。厚さだけでなく硬さ（反発力）とのバランスで選びましょう。
• マットレスの構造・素材: 分厚いマットレスにも様々な構造があります。ポケットコイルを主体にウレタンを重ねたもの、ボンネルコイルと高反発素材を組み合わせたもの、スプリングを使わず高反発ウレタンを厚く成型したものなど様々です。それぞれ寝心地や通気性が異なるため、自分に合った素材か確認しましょう。例えば、体圧分散を重視するなら独立型のポケットコイル＋厚手ウレタンのタイプがおすすめです 。一方、オールウレタンの厚手マットレスは弾力性が高く寝返りしやすい反面、夏場の蒸れが気になることもあるので、通気性素材の有無をチェックしましょう。
• 使用環境（ベッドフレームとの相性）: お使いのベッドフレームとの兼ね合いも重要です。例えば、脚付きベッドや高さのあるフレームに30cm超えのマットレスを載せると、ベッド高が高くなりすぎてしまい乗り降りがしにくくなることがあります 。逆にローベッドであれば20～30cm級のマットレスを載せても圧迫感が少なく、ちょうど良い高さになります 。また、電動リクライニングベッドで背上げ機能を使う場合、あまりに厚いマットレスだと曲がりにくく対応しない場合もあります。パラマウントベッドなどの電動ベッド用マットレスは通常15cm前後の厚さで設計されており、分厚いものは非対応です 。ご自身のベッドに合った厚みか、サイズ・重量も含め確認しましょう。
• メンテナンス性: 長く快適に使うにはお手入れも欠かせません。厚いマットレスは重くて動かしづらいので、防ダニ・抗菌加工や通気構造が施されているものがおすすめです 。最近はカバー生地に消臭・抗菌効果をもたせた製品も増えています。また、定期的なローテーションが推奨される場合、自力でできる重さかも考慮しましょう。難しければプロに任せる手もありますが、裏表両面使えるタイプか片面仕様かなども寿命に関わります。購入時にお店でお手入れ方法を確認しておくと安心です。

以上を踏まえて、次章では主要ブランドの中から特におすすめの厚みたっぷりマットレスを厳選してご紹介します。それぞれ特徴や価格帯も解説しますので、ぜひ製品選びの参考にしてください。

おすすめの分厚いマットレス8選（主要ブランド別）

シモンズ（Simmons）: ビューティレスト プレミアム「カスタムロイヤル」

シモンズは世界の高級ホテルでも採用される米国発のブランド。その中でも国内向け「ビューティレスト プレミアム」シリーズのカスタムロイヤルは極上の厚みと寝心地を誇る一品です。厚さ約35.5cmにも及ぶ豪華なピロートップ仕様で、7.5～8.25インチ高さのポケットコイルを内蔵しています 。柔らかながら安定感のある寝心地で、体が宙に浮いているような無重力感すら感じられます 。特に8.25インチ（約21cm）のコイルはシモンズ最高グレードで、シングルサイズでコイル数約1000本以上と非常に高密度。身体のラインに細やかに追従し、寝返りを打っても常に理想的な姿勢をサポートします。上層のピロートップには体を優しく包み込む低反発ウレタンを用い、底付き感ゼロの贅沢な寝心地です。価格帯はシングルサイズで約40万円前後からと高価ですが、それに見合う耐久性と快適性があります 。シモンズで最高の眠りを求める方にぜひおすすめしたいマットレスです。

サータ（Serta）: ルミナース280 7.7インチ F1P（30cm）

全米ホテルシェアNo.1とも称されるサータからは、「ルミナース280 F1P 7.7」というモデルが厚手マットレスとして注目できます。厚さ30cmで、サータ独自の7.7インチ（約19.5cm）ポケットコイルを採用したボリュームモデルです 。7.7インチのコイルはサータ最高グレードで、シングルサイズで1080個ものコイルが内蔵されています 。このコイルは線径1.3mmと1.5mmの異なる太さを組み合わせて配置されており、沈み込みやすい腰部や臀部をしっかり支えつつ全身をきめ細かくフィットさせる工夫がなされています 。表面の詰め物には高弾性フォームを使用し、柔らかさと弾力を両立して身体を優しく支えてくれます 。寝心地はやや硬めのしっかり感の中に適度なクッション性が感じられ、腰痛持ちの方からも支持されています。価格はシングルサイズで15万円前後から（サイズにより20万円超）とプレミアムラインの中では比較的抑えめで、コストパフォーマンスにも優れています 。高品質な厚みと確かな体圧分散を求めるならサータのこのモデルは有力な選択肢です。

シーリー（Sealy）: クラウンジュエル「マスターピースET」

シーリーは米国発のベッドブランドで、日本でも高級マットレスの代名詞的存在です。中でも最上位シリーズ「クラウンジュエル」のマスターピースET（ユーロトップ）は圧巻の厚み37cmを誇ります 。12層にも及ぶ詰め物を贅沢に重ね、その中には薄型のマイクロポケットコイル層も組み込まれています 。上下両面にユーロトップ（厚手のキルティング層）を備え、身体をふんわりと包み込むような寝心地です。シーリー独自の「ポスチャーテックコイル」と追加のミニコイルにより、荷重のかかる部分を的確に支える一方、表面のニット生地は抗菌防臭加工が施され清潔に保てます 。まさにシーリーの技術を結集した究極のマットレスで、海外の一流ホテルのベッドを自宅で再現したい人に理想的です。価格はシングルサイズで税込約36万円程度～（クイーンサイズで約54万円）と高額ですが 、長期耐久性や寝心地の満足感を考えれば検討する価値は十分でしょう。雲上の寝心地を求める方にふさわしい逸品です。

フランスベッド（FranceBed）: プレミアムライン（厚さ28cm・ブレスエアー内蔵）

フランスベッドは日本人の体格・嗜好に合わせた寝心地づくりに定評がある老舗ブランド。そのプレミアムライン厚み28cmモデルは、分厚いマットレスで快適さを追求したい方におすすめです 。高密度連続スプリングと特殊素材ブレスエアーⓇを組み合わせたこのモデルは、面で身体を支えつつ優れた通気性と反発力を両立しています 。ブレスエアーとは繊維状の樹脂を立体的に絡ませたクッション材で、高反発かつムレにくいのが特徴。マットレス上層にブレスエアー層を配置することで弾力性がアップし、寝返りもスムーズです 。さらにウール（羊毛）入りの詰め物が湿度を調節し、一年中サラッと快適な寝心地を提供します 。硬さはハードとミディアムソフトの2種類から選べ、自分好みの感触を得られるのも嬉しい点です 。マットレス周囲はプロウォール（強化フォーム枠）で補強され、端に座っても沈み込みにくく型崩れしにくい構造です 。シングルサイズの価格は約22万～28万円程度（税込） 。国産ブランドならではの丁寧な作りと高機能素材による快眠モデルとして注目できます。厚さと通気性のバランスを求める方に最適でしょう。

ドリームベッド: ドリームポケット F1-P ダブルクッション（27cm）

ドリームベッドは日本のベッドメーカーで、サータ製品の国内生産も手掛けるなど高品質なマットレスを提供しています。自社ブランドの中では「ドリームポケット F1-P DX」が厚さ27cmの人気モデルです 。F1-Pは並行配列のポケットコイルを採用した少し柔らかめの仕様で、ソフトな寝心地を好む方向けに作られています 。コイルは自由長195mmの樽型ポケットコイルを約75%程度まで圧縮して使っており、適度な粘りと耐久性を備えています 。シングルサイズでコイル数510個と高密度で、きめ細かに体圧を分散します 。また、詰め物には防ダニ・アレル物質吸着効果のある「アレルリーフⓇ」素材を使用しているのも特徴です 。ハウスダストやダニの死骸・フンなどを吸着して無力化する働きがあり、厚手ながら衛生面にも配慮されています。価格はシングルサイズで7～8万円台と、厚さから考えると比較的手頃です 。やや沈み込む優しい感触で、包まれるような寝心地を求める方にドリームベッドのこの一品はフィットするでしょう。国産ブランドならではの信頼性とコストパフォーマンスの高さが光る厚手マットレスです。

日本ベッド: シルキーポケット レギュラー（25cm）

日本ベッドは皇室御用達としても知られる日本の高級ベッドメーカーです。「シルキーポケット」シリーズは独自開発の極細線径コイルを高密度に配列した人気マットレスで、厚みではレギュラータイプ（ウール入り）が約25cmとなっています 。一見厚さは中程度ですが、内部にはΦ1.3mmという非常に細いコイルがシングルサイズで1200個も使われており、体を絹のようにきめ細かく支えるのが特徴です 。ウール混合の詰め物が適度な柔らかさと吸湿性を与え、日本人に馴染む程良い硬さと快適さを実現しています。シルキーポケット レギュラーは日本ベッドを代表するロングセラーモデルで、「硬すぎず柔らかすぎず」のバランスが絶妙と評判です 。体格や好みでハード・ソフトも選べるバリエーションがあります。価格はシングルサイズで17万円程度（税抜） と高級マットレスの中では比較的手に取りやすい設定です。分厚いマットレスほどの圧倒的ボリューム感はないものの、日本ベッドならではの上品な寝心地と耐久性を備えており、国産高級マットレスの入門としてもおすすめできます。極上のフィット感を求める方は検討してみる価値があります。

パラマウントベッド: INTIME カルムコア（15～16cm）

パラマウントベッドは医療・介護用ベッドで有名ですが、近年は一般家庭向けの高機能ベッド「INTIMEシリーズ」も展開しています。ただし電動リクライニングに対応するため、対応マットレスの厚さは15～20cm前後に設計されています 。中でも「カルムコア マットレス」はINTIME1000シリーズ向けの高機能マットレスで、厚さ約16cm。三次元スプリング構造のウレタンフォームが使われ、点で体を支えて肩や腰への圧力を軽減してくれます 。厚みは中程度ですが、電動ベッドに最適化された構造でずれにくく、背上げ・脚上げしても身体にフィットするのが特徴です。通気性の高い凹凸加工ウレタンのおかげでムレ感も少なく快適に眠れます。シングル相当サイズで価格は税込10万円前後 。「分厚いマットレス」というテーマでは他の製品ほどの厚みはありませんが、電動ベッドをお使いの方や寝起き動作を楽にしたい方にはパラマウントの適度な厚みマットレスがフィットします。厚さと機能性のバランスが取れた選択肢として紹介いたします。

昭和西川（ムアツ）: ラクシーン プレミアム（厚さ10cm 高反発フォーム）

老舗寝具メーカー昭和西川の「ムアツ布団」に代表されるウレタンマットレスも根強い人気があります。中でも厚み10cmの三つ折りマットレス「ラクシーン プレミアム」は、高反発ウレタンによる優れた体圧分散性で注目のモデルです 。特殊な凸凹加工を施したフォームが体重に合わせてきめ細かく変形し、寝るときの身体の圧力をバランスよく分散してくれます 。肩や腰への負担を和らげ、仰向けでも横向きでも快適にフィットするよう設計されています 。厚み自体は他ブランドの分厚いマットレスに比べると控えめですが、その分軽量で扱いやすく、三つ折りにして立て掛けたり収納したりも簡単です。反発力が高いため寝返りが打ちやすいのもメリットで、シニア世代や女性でも使いやすいでしょう。価格はシングルサイズで3～4万円台と手に取りやすく、予備のマットレスや敷布団からの買い替えにも適しています。厚さよりも手軽さと機能性を重視する方には、昭和西川の高反発マットレスが選択肢に入ります。なお、より本格的な寝心地を求めるなら厚さ14cmの「ムアツ スリープスパ」シリーズなどもありますので検討すると良いでしょう。

まとめ – 分厚いマットレスで快眠を手に入れよう

分厚いマットレスは、身体への負担軽減と贅沢な寝心地を両立できる頼もしい寝具です。厚さ30cm前後のマットレスは体圧分散性に優れ、腰痛や肩こりでお悩みの方にも心強い味方となってくれるでしょう。 ただし厚みが増すほど重量や価格も上がるため、自分の体格・予算・ベッド環境に合った製品を選ぶことが大切です。この記事でご紹介したように各ブランドから特色ある厚手マットレスが発売されています。体験できるお店があれば実際に横になって硬さやフィット感を確かめ、理想の一枚を見つけてください。分厚いマットレスに替えることで、まるでホテルのような極上の眠りを毎晩味わえることでしょう。質の高い睡眠は健康への第一歩。ぜひお気に入りのマットレスで快眠生活を手に入れてください。

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